ここほかは、子どもだけがつくって運営する2日間のまちです。働いて、お給料をもらって、税金をおさめて、まちのことを自分たちで決める。遊びを通して社会に参加する体験を、新潟でひらいています。
「子どもの権利条約」という世界の約束に日本が参加してから、30年あまり。それなのに、子どものための法律(こども基本法)や役所(こども家庭庁)ができたのは2023年、新潟市の子どものルール(子ども条例)も2022年と、ちゃんと形になってきたのは、ほんの最近のことです。
なかでも、子どもが「自分の意見を言っていい」「社会に参加していい」という考え方は、まだあまり広まっていません。子どもが自分の声を持って、その声がちゃんと届く——そんな経験を積み重ねていくことが、これからの社会には大切だと、私たちは考えています。
シティズンシップ(市民性)とは、社会の一員として自分から関わり、みんなでよりよい社会をつくっていく力のこと。
知識として教わるのではなく、遊びのなかで“やってみる”ことで身につけていく——それが、ここほかの考え方です。
ここほかがお手本にしているのは、1979年にドイツ・ミュンヘンで始まった「ミニ・ミュンヘン」。7〜15歳の子どもだけで動かす、“小さなまち”です。
この仕組みは日本にも広がり、いまは全国100か所ほどで「こどものまち」がひらかれています。ここほかも、その流れのなかにいます。
この5つがぐるぐる回ることで、お金とまちの仕組みを、遊びながら体でおぼえていきます。
敬和学園大学・大岩ゼミが中心となって、2023年にスタート。新潟県内では、はじめてのこどものまちでした。会場は公園から地下街へ、そして商店街へ。年ごとに場所を変えながら、今年で4回目をむかえます。
まちの仕事は3種類。市役所や銀行のようなまちのための仕事、地元のお店で働く見習い仕事、子どもたちが自分でひらくお店やワークショップ。そこに、おもしろい大人がおもしろいことを教えてくれる「こども大学」が加わります。
4つの組織が、それぞれの役割で動いています。
まちをつくる側にも、子どもがいます。
2023年〜
第1回に向けて発足しました。児童養護施設で暮らす子どもたちが実行委員となり、自分たちで企画したお店をまちに出しています。
2026年〜
まち全体のことを考える組織です。メンバーは「議員」。「超会議」と呼ばれる会議に集まって、まちのルールを決めたり、みんなの声を集めたり、まちのことを外へ伝えたりします。本場ミニ・ミュンヘンの子どもたちとの交流や、世界のこどものまちがつくった憲章をどう活かすかも、ここで話し合います。
企画と運営の中心
ファシリテーションを学んだ学生たちのチームです。子どもが自分で考え、自分で決められるように、そばで支えます。当日は早朝の設営から夕方の片づけまで、まちのあちこちにいます。
まち全体の責任
会場や協力店との調整、安全の確保、保険の手配など、まちが成り立つための土台をつくります。セーフガーディングの相談・通報の窓口も、この実行委員会が担っています。
ここほかは、ただのお仕事体験ではありません。「こうあってほしい」と願う社会の姿を、まちのルールにしています。
いちばん大切にしているのは、子どもたちが「自分の権利が守られる」感覚と、「自分のまちは自分で動かせる」手ごたえを持って、リアルなまちへ帰っていくこと。
草の根の小さな活動ですが、そうやって育った子どもたちが、少しずつ社会を変えていく。希望の種をまくように、続けています。いつかここほかから、選挙で選ばれた子ども市長が生まれて、本物の市長と机を並べる。そんな未来も、本気で思い描いています。